インドヒマラヤの登山報告

「R24峰」

計画が始まったのは1年前、当初はインドヒマラヤのヒマチャールプラディシュのアイガー北壁に似ている6500mの山を考えていました。その山に合わせ冬はミックスルートなどを登り、春から夏にかけては富士山に頻繁に登り体力トレーニングなどを行いました。

しかし出発直前、インド国内の大雨のため当初予定していた山への道路が寸断され、急遽、目標の山を変更するしかありませんでした。そこで選んだのが2017年にも訪れた事のあるザンスカール地方でした。慌ただしくGoogleearthで6000mの山を選び直し出発することになりました。

世界的な天候の変化なので仕方ありませんが、ヒマラヤ遠征を多く行ってきましたが、直前での目標の変更は初めての経験でした。

私たちが挑戦したR24(標高6100m?)は規模は大きくなく傾斜も強くありませんが、美しい形をしていて魅力的でした。
私たちには丁度良い目標だったと思います。

登山は残念ながら頂上まで標高差で150m?を残し敗退となりました。脆く垂直のギャップはあまりにも危険で諦めるしかありませんでした。

多くの費用と準備をしてきただけに、敗退に色々な想いはあります。

しかし帰国後、各自、次に向けて少しづつ動き始めています。このヒマラヤ登山の経験が、今後の登山に生かされることを願っています。


メンバー 山野井泰史、古畑隆明、植田寿洋


日程
9月6日 成田~ニューデリー
9月7日 レー
9月10日 カルギル
9月11日 パダム
9月12日 レルー村
9月13日 スンド(トレッキング)
9月14日 ベースキャンプ
9月15日 偵察
9月19日から21日 偵察+順化
9月25日から27日 R24登攀
10月8日 レルー村
10月10日 カルギル
10月11日 スリナガル
10月14日 ニューデリーから成田

(記 山野井)


南稜フランケ

ずっと登りたいと思っていた「南稜フランケ」を登ってきた。
天気予報を見ると、6/3~6/6は晴れそうなので、乾くことを期待して6日に行くことにする。
出合に着くと、とても良い天気だ。
雪が少なく、出合からしばらくは右岸の巻き道を行き雪渓に下りた。
テールリッジ末端のシュルンドは問題なく通過。
出合から1時間で中央稜の取付に着き、烏帽子沢奥壁のバンドを歩き鎌形ハングの右端で、登攀の準備をする。

グレードは体感・・・

1ピッチ目(Ⅳ+・40m)
右のカンテを越えてフェースを登り、草付の凹角手前まで。
ザ・逆層って感じで意外に悪い・・・
2ピッチ目(Ⅳ+・40m)
左上する草付のランぺ(今は言わないかな・・・)からハングの切れ目を目指して右上しビレイポイントへ。ビレイポイントに上がる箇所が、岩が脆くて怖い。
3ピッチ目(V・40m)
ハング下のトラバースから、岩は硬いがホールドが細かいフェースを登り大テラスへ。
トポでは「Ⅴ+」になっているが、三つ峠の大根おろしが「Ⅴ+」ならこのピッチは少し易しいと感じた。
4ピッチ目(V+・30m)
大テラスから左に見えるフェースを登り、バンドを左へトラバースしカンテを越えてYCC左ルートの物と思われるボルトが見えるテラスでビレイ。
カンテを越える箇所が悪く感じた。
5ピッチ目(Ⅳ+・45m)
左上する草付バンドからカンテを直上。
南稜の馬の背の上部に出た。
6ピッチ目(Ⅲ・20m)
南稜の最終ピッチ取付きの10mくらい下に懸垂ポイントが有ったので、そこで終了にして下降した。
ルート全体にプロテクションが少なく、ルートファインディングに悩む場面も有ったが、大きくルートを外すことは無いと思う。
ほぼ岩は硬いが、部分的に脆い箇所も有りリードは慎重な行動と集中力を要求される良いルートだと感じた。
何といっても烏帽子沢奥壁にあって、これだけ草付が少ないのは素晴らしい!
私が3歳の時に初登された「南稜フランケ」、評判通りの良いルートだった。

記 熊谷